計算は工夫しだい

計算は、工夫しだいで何倍も速く解けます。

しかも、工夫すると簡単になるので、間違えにくくなります。

その計算法を、少しずつ伝えられたらと思います。

私は、素の計算が、遅くはないですが、すごく速いわけでもありません。

 

小学3年から6年まで、珠算学校に不真面目に通っていましたが、珠算準2級、暗算4級で止まっているというのが、素の計算がそんなに速くない証拠になると思います。

 

しかし私は、中学生以降の計算問題を 暗算1級の人より速く、しかも正確に解けます。

 

そのタネは

  1. 小数は分数にする
  2. わり算は分数にする
  3. 約分以外のわり算をしない
  4. かけ算を丸めない
  5. 因数分解をする

の5点です。

 

この5点を身に付けるだけで、暗算1級の人よりも断然、計算が速くなり、しかも簡単になるので、正確に解けます。

 

「因数分解は中3以降で習う内容です」

 

そうではありません。

因数分解という言葉が出てこないだけで、こうやるとラク、という計算例が、小学4年以降の教科書にずっと出ています。

 

この計算法を使う人は、あまりいません。

 

なぜなら、ある程度の計算力があれば、小学校で課される計算程度では、あまり解答スピードの差が感じられないからです。

 

素の計算が速い人は、ずいぶん遅い時期まで便利な計算法を身に付けようとしないので、学年が上がるにつれて、かえって計算が遅くなるという事態に陥ります。

 

 

因数分解の例

 

 16+28+36+48

=4×(4+7+9+12)

=4×32=128 

 

直径50㎝と直径60㎝の自転車のタイヤの周りの長さの違いを求めましょう。

 

 60×3.14-50×3.14

=3.14×(60-50)

=3.14×10

=31.4

 

これらは、小学校の教科書で扱われている一例です。

計算力の劣る私にとっては、非常に重宝しています。 

 

 

1. 小数は分数にする

 

 

 1.75×1.25

=2.1875 〇

 

 1.75×1.25

=7/4×5/4=35/16 ◎

 

分数にすれば遥かにラクです。

 

分数にするちょっとした工夫はいくつかあります。

 

3.5は7の半分ですね。だから

 

7÷2=7/2

 

です。わざわざ

 

35/10

 

にして約分する必要はありません。

「.5」はよく出てきますから、利用できると少し速いです。

 

分数の意味が理解できていれば、シンプルな分数にするのも簡単です。

 

0.25 0.75 1.25 1.75 2.25

 

のような0.25刻みの小数は、計算問題でよく出ます。

分数の意味が分かっている人は瞬時に

 

1/4 3/4 5/4 7/4 9/4

 

とシンプルな分数にできますが、分からない人は

 

25/100 75/100 125/100 ・・・ 

 

に直してから約分をしなければなりませんから、正確性とスピードの両面で、大きな差が生まれます。

もちろん、小数をそのまま扱うよりは有利ですが。

 

 

2. わり算は分数にする

 

 24÷5×15

4.8×15=72 〇

 

 24÷5×15

=24/5×15

24×3=72 ◎

 

 22÷6×33

3.667×33=120.99 ×

 

 22÷6×33

=22×33÷6

22×5.5=121 〇

 

 22÷6×33

=22×33÷6

726÷6=121 〇

 

 22÷6×33

=22/6×33

11×11=121 ◎

 

割り算を分数にするだけで、ほぼ常にラクになります。

 

 

4. かけ算を丸めない

 4×4×4×4 + 4×4×4 + 4×4 + 4

=4×(4×4×4 + 4×4 + 4 + 1)

=4×(4×(4×4+4+1) + 1)

 

まだ行けますが、この場合はここまででよいでしょう。

続きをやると

 

=4×(4×21+1)

=4×85

=170×2=340 ◎

 

こんな計算は・・・あります。

4次式に4を代入すると、こんな感じの計算になります。

 

これを工夫せずにやると

 

 4×4×4×4 + 4×4×4 + 4×4 + 4

=256+64+16+4

=340

 

256と64を出すのに一苦労です。

 

3. 約分以外のわり算をしない

4. かけ算を丸めない

 

(中2方程式)

生徒会で古紙を集めました。集めた古紙は全部で480kgあり、そのうち60kgが段ボールで、残りは新聞紙と雑誌です。これらをすべて、下の表の金額で交換している業者に回収してもらうと、その金額は6000円になりました。

集めた新聞紙と雑誌は、それぞれ何kgですか。

 

古紙1kgあたりの交換金額

新聞紙  13円

雑誌   11円

段ボール 15円

 

【解答】

 

新聞紙 x kg、雑誌 y kgとして

 

13x + 11y + 60×15 = 6000

x + y + 60 = 480

 ↓

13x + 11y = 60×100-60×15

x + y = 420

 ↓

13x + 11y = 60×85

x + y = 60×7

 ↓

13x + 11y = 60×85

11x + 11y = 60×77

 

上の式から下の式を引いて

 

2x = 60×8

 x = 60×4

 x = 240

 

試しに普通に解いてみてください。違いに驚くと思います。

 

こんなにうまくいくこと、めったにないでしょ?と思うでしょうが 、皆が知らないだけです。

計算の解説にも、工夫のない面倒な計算例しか出ていないので、解説者も気づいてないかもしれませんし、

あるいは、紙面の制約上、誰でもわかる解説しかつけられない、という事情もあるでしょう。

よく練られた問題ほど、計算がラクに済むようにわざと作られています。少数ではありません。たくさんあります。

 

どの教科、分野でもそうですが、共通点を見出すのが得意で、最短のプロセスをたどれる人が、好成績を上げられるように問題が作られています。