居眠りでよだれをたっぷり垂らし、よだれで濡れたままのプリントを私の机に持ってきたので、私の机が濡れてしまいました。
それに私が気付かずに、別のお子様の手帳をその机に置いてしまったものだから、その手帳も濡れてしまいました。
まず、手帳をアルコールスプレーで消毒し拭き取り、私の机も同様の処置をし、最後に、よだれをたらしたお子様(以下、ヨダレ君)の席に行きました。
席にティッシュが備え付けてあるのに、机にもよだれがべっとりついて、拭き取ることなく放置されていました。
どうかしてると思いながら、よだれに向けてアルコールを吹きかけたところ、同時にヨダレ君の腕が動いて、アルコールがヨダレ君の腕にかかってしまいました。
ヨダレ君帰宅後、親激怒。
迎えに来た母親の車に乗り込むなり「もう塾に行きたくない」と泣きながら訴えたそうです。
理由は、「どうしてできないんだ。なぜ分からないんだ」と責め立てるような厳しい指導で、さらにはアルコールをかけられる仕打ちを受けたから、だそうです。
深夜、電話口で、
「今まで野球チームでぶん殴られても辞めなかった我慢強い息子が、泣いて辞めると言っている。だから普通じゃない」
「なぜ子供にアルコールをかけたのか。アルコールをかけられたことで、本人が傷ついている。なぜかけたか本人に説明して謝罪しろ」
「体験時より指導が雑になった。月謝を返金しろ」
「厳しく攻め立てる指導法で次々と塾生が辞めている。指導法が間違っているからやめろ」
と、父親から厳しく責め立てられました。
興奮している様子だったので、とりあえず、謝るしかありませんでした。
ヨダレ君が、塾を辞めたい一心で、あること、ないことを、親にぶちまけたことは、想像がつきました。
次の日、また次の日、メールでやり取りして事情を説明しました。
最後に私から、
「お父様、お母様に、本当に伝えたいことを伝えられずに、アルコールをかけられたことを辞めたい理由にしているような気がしてならないのですが。
アルコールのことを謝っただけでは、本意とは違い、ご本人様に良い影響がないのではと考えてしまうのですが、いかがでしょうか」
と、問いかけたところ、
「先生とのメール内容を元に、息子と主人と話をしました。
謝罪や返金も結構です。
短い間でしたがお世話になりました」
という返事だったので、最終的には、納得してもらえたのかな?
よく分かりませんが。
塾をとにかく辞めたいヨダレ君の言い分を鵜吞みにして、激怒してしまったのだと思いますが、心が折れました。
実際のところは、体験時よりも細かく、熱心に面倒を見てやっていました。
周りと比べて際立ってできなかったので、何とかして成績を上げねばと思いました。
初めのうちは、さぼってプリントを解きませんでした。
多数の中に埋もれていれば、さぼれると思っていたようです。
その後、彼にだけは、見回ったり、時間制限を設けるなどして、徐々に、徐々に、さぼれない環境に持っていきました。
母親いわく「どの塾へ行っても成績が上がらず、勉強意欲がなくて直近に家庭教師をやめた彼が、週3回、2~3時間、がんばって塾に通っている姿を見て、我が子ながら感心して送迎していた」そうです。
初めのうちはさぼれたからでしょう。
「もうこれで親の監視の目はない。塾の先生も注意しない。いい隠れミノができた。勉強のことでガミガミ言われることはなくなった」
そう考えたに違いありません。
母親はそんなことはつゆ知らず「がんばって塾に通っている」と思ったのです。
どうにかプリントを解くように仕向けてからは、間違えている所を四角く囲み、
「この1行に1か所だけ間違いがあるけど、どこか探してみて」
「ここまでは合っていて、次が違うけど、正解はどうなる?」
の繰り返しが多かったです。
それが彼にとっては「どうしてできないんだ、なぜ分からないんだ」と攻め立てる指導法に見えたのかもしれません。
「塾に行きたくない」と泣いた当日は、
ヨダレ君が自分で書いた5を、3と見間違えて書き写し、計算違いをすることが、2回続けてありました。
同じ間違いが連続2回起きたので、そのことの指摘と、他の字と見間違える字、払い字、続け字を書いてはいけないというアドバイスをしました。
暗算することによる安易な計算ミスが多かったので、暗算しないほうがよいと何回も忠告をしていましたが、いよいよ直らないので、
「暗算しないほうがよい、じゃなくて、暗算を、してはならない。間違えるから。いい?」
と、一歩踏み込み、念を押しました。
そういう細かい指導が、ヨダレ君には苦痛だったかもしれません。
計算をできるようにするには間違いの原因を突き止めるのが必須ですが、間違いが多すぎるゆえ、間違いを指摘されつづけて、責められている感覚になったかもしれません。
本人のために良かれと思ってやっていることでしたが、考えてみれば、やる気のない人間にとって、勉強させて教えてやることなんか迷惑千万でしかありません。
私のしたことが、騒動を巻き起こすきっかけになってしまいました。
今後、どうしたもんかと思案中です。
やる気のない人間は相手にせず泳がせて、
「ああ成績が上がりませんでしたね、申し訳なかったです」
と言って、勝手に辞めていくまでほったらかしとけばいい?
それも、塾としての商売の一手法では、ある。
でもそれ許せん。
お金かけて塾に来といて勉強やらない連中が許せん。
働きたくても働けない人からすれば差別用語だけど、
「働かざる者、食うべからず」
こういう人種は、なおさら。
ところで、
厳しく攻め立てる指導法で次々と生徒が辞めていっている、というのは、どこから得た情報なのか。
ヨダレ君からの情報だとすると、彼が塾にいた1か月足らずで、辞めた人が、一人もいない。
加えて、今年度に入ってから、ヨダレ君以外、だれ一人、辞めていない。
元々、少人数の塾で、次々と辞められては、塾の運営が成り立たない。
よくもまあ、でたらめを並べる能力だけはあるもんだと、あきれてしまいました。
ただ、それよりもなによりも、いちばんあきれたのは、
親から私に謝罪がないことです。
さんざん電話口で、鵜呑みにしたでたらめを並べ、一方的に責め立て、私にひれ伏させておいて、そっちが間違っていたのに、ほったらかし。
何の謝罪もない。
お世話になりました、じゃなくて、ひとこと謝ったらどうなのか。
間違っていたら謝るというのは、お宅の教育方針にはないということですかね。
「今まで野球チームでぶん殴られても辞めなかった我慢強い息子が、泣いて辞めると言っている。だから普通じゃない」
果たしてそうでしょうか??
単純に、我慢強さの尺度で測れるの?
好きなことだから、ぶん殴られても辞めなかったのではないか。
嫌いなことだから、ちょっとしたことでも音を上げてしまったのではないか。
我慢強いかどうかは関係ない、私はそう思いますが。
だいたい今どき、ぶん殴るって野球チームの指導は、どうなのよ。
私がその現場を見たら、ぶん殴った監督をぶん殴っちゃいますけどね。
それもダメか。
すぐ刑事事件だ。
ぶちまける所がないので、ここでぶちまけました。
ところで、塾代がもったいないので、本人に、塾に行ったら勉強を、するか、しないか、確認をとったほうがいいです。
ただし、親の事を怖がっていたら、本当のことは言わないので、そこのところは要注意です。
親子が、信頼関係でなく、専ら強権的な力関係で成り立っているご家庭は、子は本当のことを親に言いません。
子の真意を推し量るのは、至難の業です。
ヨダレ君の家庭が、そうだったようです。
父親が家庭内での絶対権力者。
本当のことがいえない子の言葉を元に、父親が大立ち回りを演じ、挙句の果てに、親子で恥をかくという失態。
最後に今回の反省点。
『アルコールスプレーをするときは、子を遠くへ移動させる』
『やる気のない人間に無理に勉強させることは、迷惑でしかない。まずやる気を出させること。そのやる気はどうやって出させるのか』
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とおりすがりママ (火曜日, 27 6月 2023 19:46)
子は親のかがみ
他人に罪をなすりつけてでも自分の要求を通す傲慢。
物事を客観的に見ようとせず、すぐに行動する短絡的な思考。
我が子を含め他者から自分はどう思われているか、どう思われたいか、どういう人間でありたいかの思考の欠如。
一人の人間を育てあげるという責任、なんだか親として考えさせられる記事でした…